「単価が低い案件を続けるべき?」
「新しいスキルを学ぶべき?」
フリーランスとして働いていると、日々選択を迫られますよね。
何かを判断をするとき、私たちの意思決定を歪めてしまう心理現象が「サンクコスト」です。
本記事では、フリーランスがより良い未来を選択するために知っておきたい「サンクコスト」の概念と、その対処法について解説します。
判断をクリアにして、限られた時間を有意義に活用しましょう。
サンクコストとは?

サンクコスト(sunk cost)とは、すでに支払ってしまった、取り戻すことができない費用やリソースのことです。日本語で「埋没費用」とも呼ばれます。
具体的には?
- お金: すでに支払った費用、投資した資金
- 時間: 費やした時間、労働時間
- 労力: 注いだエネルギー、努力
- 精神的負担: 感じた不安、ストレス、苦労
サンクコスト効果とは?

サンクコスト効果、またはサンクコストの誤謬(ごびゅう)とは、すでに投資したコストを「もったいない」と感じるあまり、合理的ではない判断を下してしまう心理現象のことです。
行動経済学や心理学で広く研究されており、日常生活からビジネスの世界まで、場面で発生します。
よくあるサンクコスト効果の具体例
フリーランスの現場では、こんな場面でサンクコスト効果が働きます。
例1:報酬に見合わないクライアント
あるクライアントとの仕事を3ヶ月続けてきたが、時給換算すると最低賃金以下の報酬になっている。それでも「ここまで関係を築いてきたから……」と、契約を続けている。
例2:伸びないスキル学習
10万円のオンライン講座を購入し、50時間勉強したが、自分には合わないと感じている。しかし「お金と時間を無駄にしたくない」と、惰性で学習を続けている。
例3:赤字プロジェクトの継続
新しい事業に50万円と3ヶ月を投資したが、うまくいく見込みが薄くなってきた。それでも「ここまで投資したのだから」と、損失を拡大させながら継続している。
3つの例に共通するのは、過去に費やしたもの(サンクコスト)に固執して、未来にとって最善の選択ができていないという点です。
なぜサンクコスト効果に陥るのか

サンクコスト効果が発生する背景には、3つの心理的要因があります。
- 損失回避バイアス
- 一貫性の原理
- 自己正当化
それぞれ解説します。
損失回避バイアス
人間は、同じ金額であっても「得をする喜び」よりも「損をする苦痛」の方を大きく感じる傾向があります。これを「損失回避」と呼びます。
私たちは、過去の投資を無駄にすることを「損失」と認識します。非合理とわかっていても、損失を避ける判断を優先してしまいます。
一貫性の原理
人は自分の過去の行動や判断に、一貫性を保ちたいという心理を持っています。「せっかく始めたから、続けるべきだ」という思考は、この一貫性の欲求から生まれます。
状況を変えるよりも、矛盾を受け入れられない一貫性が行動を縛ってしまいます。
自己正当化
「自分の判断は正しかった」と信じたい欲求も、サンクコスト効果を強めます。プロジェクトを途中で諦めることは、過去の自分の判断ミスを認めることになるため、無意識に避けてしまうのです。
フリーランスにとってのサンクコストの危険性
フリーランスは、時間というリソースを最大限に活用することが不可欠です。
会社員であれば、たとえ非効率なプロジェクトでも給与は保証されています。しかし、フリーランスは、投入する時間の量と質が直接収入に影響します。
報酬に見合わない仕事に時間を費やせば、その分だけ収入の機会を失うとも言えます。
サンクコスト効果を回避する5つの方法
では、どうすればサンクコスト効果から逃れ、合理的な判断ができるようになるのでしょうか。
以下の5つの方法を実践してみましょう。

1. ゼロベース思考を取り入れる
最も効果的な方法は、「過去の投資がゼロだったと仮定して考える」ことです。
例えば、「このクライアントとの仕事を続けるべきか」と迷ったとき、これまでの関係を一旦忘れましょう。
「今日初めて出会ったクライアントだとしたら、この条件で契約するか?」
答えが「No」なら、それが本来取るべき判断です。
2. 機会費用を意識する
機会費用とは、「ある選択をすることで、失われる別の選択肢の価値」のことです。
報酬の低い仕事に10時間使えば、その10時間で本来できたはずの高単価案件や、スキルアップの時間を失います。これが「機会費用」です。
「時間を使うのと同時に何を失っているのか?」
機会費用を常に意識しましょう。
3. 客観的なデータで判断する
感情ではなく、数字やデータに基づいて判断することが重要です。
- このクライアントの時給換算はいくらか?
- このプロジェクトの収支予測は?
- この学習にあと何時間必要で、それに見合うリターンはあるか?
データで可視化すると、感情的なバイアスを軽減できます。
4. 第三者の意見を聞く
自分一人で判断すると、どうしても過去の投資に引きずられてしまいます。信頼できる仲間や、同じフリーランスの友人に相談してみましょう。
第三者は過去の投資に感情的な関わりがないため、より客観的なアドバイスをしてくれます。
5. 定期的な振り返りと撤退基準を設定する
事前に「どうなったら撤退するか」の基準を決めておくことも有効です。
例えばこんな基準
「3ヶ月やって成果が出なければ方向転換する」
「時給が1,000円を下回ったら契約を見直す」
感情に流される前に、ルールに従って判断できます。
時間を見える化するToggl Trackで機会費用を把握しよう

サンクコスト効果を避けるためには、「自分の時間を何に使っているのか」を正確に把握することが重要です。
しかし、感覚だけでは時間の使い方は見えづらいもの。
そこでおすすめしたいのが、時間管理ツール「Toggl Track(トグルトラック)」です。
Toggl Trackとは
Toggl Trackは、ワンクリックで作業時間を記録し、プロジェクトごとに時間を自動集計してくれる時間管理ツールです。フリーランスから大規模なチームまで、世界中で利用されています。

Toggl Trackでできること
1. 作業時間の正確な記録
タスクを開始するときにスタートボタンを押すだけ。どのプロジェクトにどれだけ時間を使ったかが、自動的に記録されます。
2. プロジェクト別の工数可視化
「このクライアントの仕事に、何時間使ったか」が一目瞭然。時給換算も簡単にできます。
3. レポート機能で時間配分を分析
週単位、月単位で時間の使い方を可視化。「思ったより時間がかかっている仕事」「効率の悪いタスク」が明確になります。
4. 無料プランでも十分使える
タスク数とプロジェクト数は無制限。個人利用なら、無料プランで十分な機能が揃っています。
サンクコストの回避にToggl Trackが役立つ理由
Toggl Trackを使うことで、以下のメリットが得られます。
「この業務、半年続けたけど、実際どうなんだろう?」と迷ったとき、Toggl Trackのデータを見れば、実際の時給や工数が明確になります。
時間をどこに使っているかが見えると、その業務に使っている時間で、本当は何ができたかを予測できます。これが機会費用の意識につながります。
Toggl Trackのレポートを週末に見る習慣をつければ、「今週の時間の使い方は適切だったか?」と定期的に振り返ることができます。これがサンクコスト効果の予防になります。
Toggl Trackで時間を管理して定期的に振り返ると、サンクコスト効果の予防になります。
未来志向の判断で、自由な時間を手に入れる
サンクコストとは、すでに使ってしまって取り戻せないコストのこと。
「もったいない」と感じるあまり、不合理な選択を続けてしまう危険性があります。
フリーランスにとして成功するために、「これまで費やしたもの」ではなく、「これから得られるもの」に目を向けましょう。
そのために、以下のようなことが実践できます。
- ゼロベース思考を取り入れる
- 機会費用を意識する
- 客観的なデータで判断する
- 第三者の意見を聞く
- 定期的な振り返りと撤退基準を設定する
Toggl Trackのような時間管理ツールを活用すると、自分の時間がどこに使われているかを正確に把握できます。
サンクコストを理解して、フリーランスとして充実したキャリアを築いていきましょう。



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