「レポートに45分かかるなら、1時間を確保する」「4日必要な作業には1週間を見込む」
こうした余裕は、トラブルを避けるための合理的な方法にみえますが……。皮肉なことに、このゆとりが生産性を下げる原因になっているかもしれません。
時間に余裕があると、作業の開始が遅れたり、不要な検討や手直しが増えたりして、本来よりも仕事が膨らんでしまう。この現象を説明するのが、パーキンソンの法則です。
本記事では、パーキンソンの法則の意味と日常で起きる具体例、仕事の生産性を高める実践的な対策についてご紹介します。
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パーキンソンの法則とは？
「仕事は、与えられた時間を使い切るまで膨張する」という法則です。
たとえば、「この資料を今日中に」と言われると、本来は1時間で終わる作業でも、丸一日かかってしまうといったもの。
所要時間 ≠ 仕事の難しさ
所要時間 ＝ 与えられた時間によって変動する
つまり、「時間に余裕がある」と判断すると開始を遅らせたり、不要な作業やこだわりを自ら増やしたりして、作業そのものが膨張してしまいます。
図でわかるパーキンソンの法則
下記の図のように、仕事を開始するとある一点で作業量がピークをむかえます。その後、時間をかければかけるほど作業量は小さくなります。
作業量が増加している状態を超えると、生産性が低下し時間の無駄が発生します。生産性を高めるためには、同じ作業をダラダラ続けず、区切りをつけることが重要です。
パレートの法則という考え方も
ピークを見極めるときに重要な考え方が、「パレートの法則」と呼ばれるもの。「成果の8割は、全体の2割の要素によって生まれる」という考え方です。
パーキンソンの法則は「組織」と「お金」にも現れる
パーキンソンの法則は、時間と作業量だけでなく組織や支出にも当てはまるとされています。
組織は、実際の仕事量とは関係なく肥大化する。
- 人が増える
- 説明や承認が必要になる
- 管理する人が増大
- 会議や書類が勝手に増大していく
支出の額は、収入の額に達するまで膨張する。
- 収入が増える
- 生活水準を引き上げる / 税金が上がる
- 手元に残る額はほとんど変わらない
日常生活でみられるパーキンソンの法則
パレートの法則は日々の仕事や家庭など、ごく身近な場面でも起きています。
ここでは、具体的なケーススタディを見ていきましょう。
60分の会議
15分で終わる内容でも、会議に60分という時間が与えられていると、その枠に合わせて話題が広がってしまいます。
無関係な意見交換、念のための確認、結論が出ていることの再確認……。
会議の時間は、必要だから〇〇分と決まっているわけではなく「60分あるから60分使われる」と考えておきましょう。
企画書の締め切りが2週間後
締め切りに余裕があると、優先度が低くなり着手自体が遅れてしまいます。
いざ着手しようと思っても、調査や検討に時間をかけすぎて、書き始めるのはギリギリ……。仮に早く企画書が完成した場合でも、装飾を加えたり追加の調査を行ってタスクをより複雑にしてしまうことも考えられます。
結果的に、与えられた2週間という時間をすべて使い切るまで作業が膨張しています。
友人を家に呼ぶ前の片づけ
来客予定がなければ、ダラダラと休日の午前中いっぱいを掃除の時間に費やしてしまうことがあります。
しかし、来客予定（締切時間）が入ると、30分で一気に片付いた経験はないでしょうか。
時間の制約が、優先順位と判断をクリアにしてくれる好例です。
パーキンソンの法則に打ち勝つ6つのアイデア
パーキンソンの法則は「時間があるほど、仕事は複雑になり膨張する」という傾向を示しています。
これを避けるためには、時間の枠を意識的に制限することが重要です。ここでは、すぐに使える6つのアイデアをご紹介します。
- 期限を短く・明確に設定する
- タイムボクシングを活用する
- ポモドーロテクニックを使う
- 作業する時間を計測する｜Toggl Track
- かけた時間よりもアウトプットで評価する
- 具体的なタスクに分解する
期限を短く・明確に設定する
来客予定で示したように、時間に制限がないときの作業は無限に広がってしまいます。
長すぎる期限は先延ばしを生むため、現実的かつ短い期限を設定しましょう。
タイムボクシングを活用する
タイムボクシングとは、作業内容に応じて「使う時間」を先に決めてしまう手法です。
例えば、企画書作成に2時間、メール整理に20分といった形。タスクに対して時間を割り当てることで、以下のように意識が切り替わります。
「終わるまでやる」→「時間内で終わらせる」
不要な作業の膨張を防ぐ、有効なテクニックです。
ポモドーロテクニックを使う
ポモドーロテクニックは、作業や勉強の生産性を高めるメソッドです。
やり方：「25分作業＋5分休憩」を繰り返す
短い集中と細かい休憩を繰り返して、緊張感と集中力を保ちやすくなります。
終わりが見えない作業は膨張しやすいため、ポモドーロテクニックを使って作業に「区切り」をつけてみましょう。
作業する時間を計測する｜Toggl Track
そもそも、無駄な作業をしているのかどうかを認識するのは難しいもの……。そのため、現状の分析から始めることが重要です。
Toggl Trackのような時間計測ツールを使うと、作業にどれだけ時間を使っているか可視化できます。
かかった時間を振り返ると、改善点や集中が途切れやすいタイミングがわかり、対策が考えられるようになります。
かけた時間よりもアウトプットで評価する
「長く作業した＝良い成果」という思い込みは、いたずらに作業の膨張を生んでしまいます。
重要なのは、成果物の質やインパクトです。アウトプットを基準にすると、余計な手戻りや情報追加を避けられます。
まずは時間を計測して、自分のアウトプットを評価してみましょう。
仕事の密度を高める第一歩になるはずです。
具体的なタスクに分解する
「企画書を作る」「記事を書く」といった大きなタスクは、あいまいで着手を敬遠しがちです。
構成を作成する、参考資料を集める、1章を書く、画像を整理する、といったように細かい作業単位に分解してみましょう。
タスクを実行可能な状態に分解できると、悩む時間も削減できます。
パーキンソンの法則を逆手にとって生産性をあげよう
パーキンソンの法則とは、「仕事は、与えられた時間を使い切るまで膨張する」という経験則です。
この法則を逆手にとって、生産性を高めるために応用してみましょう。
- 期限を短く・明確に設定する
- タイムボクシングで時間の枠を決める
- ポモドーロテクニックで集中を区切る
- 時間を可視化する（例：Toggl Track）
- アウトプット基準で評価する
- タスクを細かく分解する
時間は増やせませんが、密度は変えられます。制約を味方に変えて、仕事の質を高めていきましょう。
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